娘の日本語

 うちの娘(14歳)は、米国生まれの米国育ちで、母語は英語である。日本のテレビドラマを見ても大体分かる程度の日本語は解するが、日本語で教育を受けたことはない。娘の日本語知識は、あたしが話す日本語を聞いて覚えたものである。こういうのを継承語って言うんだっけ?

 発音はあたしがしつこく直したので悪くないし、文法の規則などは理屈抜きで何となく理解しているようだが、流暢には話せない。でも、それくらいでいいと思っている。それより何よりまずは母語をきちんと使えるようになって欲しいので。

 幼稚園の頃、娘が「わたし ほしい それ も」という発言をしたことがあった。英語の文法に日本語をそのまま当てはめているのである。だったら、「I want it, too」と英語で言えばいいものを何故わざわざ日本語にしたのかは未だ分からずじまいだが、衝撃的な発言だったので、一生忘れないだろう。

 特に最後の「も」に注目してほしい。「も」の意味を分かっていなければ使えないだろうから。しかし、これで娘の日本語理解度の中途半端さが分かっていただけると思う。

 中学生になって、さすがに娘の日本語も進歩したので、こういうネタになりそうな日本語発言はしなくなってしまった。「カジノ」は「火事の」であり、ラスベガスに火事があったと思っていた、みたいな可愛い勘違いもいくつかあったのだが。ある意味、さびしいものである。