日本人に外国語は必要ない

 日本人は、何故なかなか英語が上達しないか。その理由のひとつは、単に必要に迫られないからだと思う。日本で普通に生活する限り、日本語だけで全てをまかなうことが出来るから。そんなことは、日本人にとっては当たり前過ぎて考えたこともなかったが、当たり前ではない国が世界には沢山あることを最近知った。

 袴田茂樹氏が上手くまとめて下さっている。

 日本人の外国語下手には、いくつか理由がある。第1に、逆説的だが、国民の教育レベルが高かったことが、結果的に外国語下手を生んだとも言える。どういうことか説明しよう。明治以来日本人は外国文化の吸収にたいへん熱心だった。そして国民の識字率が高かったため、また人口も大きかったため、欧米の重要な図書や文献はほとんど日本語に翻訳して出版することができた。東西の古典も、近・現代の学術書も、重要なものはたいてい翻訳されて出版され、日本語で読むことができた。つまり、市場が大きかったため、翻訳文化が経済的にも成り立ったのである。これが、識字率が低く、人口の小さい国なら、営業的に翻訳、出版は困難となる。

<中略>

 これが、識字率の低い小国の場合、経済的に翻訳文化が成り立たない。したがって知識人やエリートが外国の文化に触れようと思えば、外国語の習得が不可欠になる。また、自国で質の高い高等教育を受けられない途上国の場合も、エリートは先進国へ国外留学するのが普通のこととなった。さらに、アジアの多くの国は、欧米の植民地時代を長年経験しており、支配層にとっては宗主国の言葉をマスターすることは不可欠だった。インドでは英語、ベトナムなどインドシナではフランス語である。エリートの宗主国への留学も普通のことであった。

 何はともあれ、まずはご先祖様に感謝しなくてはいけないね。そして、この素晴らしい教育レベルを我々も後世へ引き継いでいかなくてはいけないのではないだろうか。だから中途半端で必要とされない幼少期の英語教育は必要ないとあたしは考えるのである。

 外国語学習は、あたしみたいにやりたい人だけ、やればいいのでは。英語が苦手な子供にはそれを強制せず、他のやりたい科目をやらせた方がいいと思うなあ。イヤイヤやると上達もしないし。