ロシア語の発音

 教科書によって、ロシア語の発音について、全く異なる説明がされているので、戸惑う。

 「Cat's Cradle」さんが取り上げていたので、便乗させてもらうが、例えばロシア語の「Т」の発音。


 城田俊氏の「現代ロシア語文法」(8ページ)によると、

「タ、テ、ト」の頭の子音

 とだけ書かれている。


 前木祥子氏の「しっかり学ぶロシア語」では、「Т」を個別に扱っていないが、

英語の d - t に似てます。
(23ページ)

歯音:з, с, д, т (前歯に息を強く当てる、舌先を前歯の裏に打ちつける、どれも歯を使っています)
(25ページ)

 と記されている。上の歯なのか、下の歯なのかまでは記されていない。


 阿部昇吉氏の「まずはこれだけロシア語」(17ページ)には、

英語の「T」と同じで、舌先を前歯の裏側につけて発音。

 と書かれている。「しっかり学ぶロシア語」の説明に似ている。上下の区別はやはり書かれていない。

 

 では、英語で書かれた教科書の説明を見てみよう。


 「Russian in an easy way」(15ページ)では、

Letters, which are common in English & Russian:
Consonant: K M T
Vowels: A O

 とあっさり英語の「T」と同じ音として扱われている。


 「Russian: A Self-Teaching Guide」(1ページ)には、

Consonant that are plosive in English (p, b, t, d) are not plosive in Russian, which makes their pronunciation for English speakers difficult.

 とある。英語の「T」は破裂音だが、ロシア語のそれは破裂音ではないということらしい。


 「The New Penguin Russian Course」(2ページ)には、

[t] a in tan

 と例が挙げられているだけだ。やはり英語の「T」と一緒の扱いである。

 
 ところが!

 「Да, я говорю по-русски」(9ページ)には、

The Russian Н, Т, Д are dental sound: in their articulation the tip of the tongue touches the lower teeth.

 と書かれているのだ(強調は原文まま)。これを見た時、あたしもびっくりした。今のところ、これと同じ説明の仕方をされているのは、chez_toiさんが挙げられていた「ロシア語文法便覧」だけのようだ。


 ま、今度先生に舌がどこに当たっているか訊いてみるのでそれで解決するだろう。しかし、訊ける相手がいない場合、これだけ本によって違うと何を信じたらいいのだろう。