耳をくんくん

 娘がまだ幼稚園か小学校低学年の頃に買った「はらぺこさんふたり」という絵本がある。ミミオくんといううさぎのぬいぐるみが出て来るのだが、娘にこの本どういう話だったっけ?と訊いたら、「耳をくんくんする話」と答えたという、爆笑伝説を我が家に残した本である。耳の匂いをかいでどうするのだ?

 いつか自分で読むんだと誓って本箱の底にしまうこと早10年近く。この本は、カタカナにもふりがながふってあるので、ひらがなが読めるようになった娘は、ようやく自分で読めるようになった。という訳で現在の娘の日本語学習はこの本を読むことがメインとなっている。

 1日1章と無理のないペースで進めているし、宿題が多い日には読まないので、なかなか進まない。でもたった数章を読み進めただけなのに、かなり上手に読めるようになった。本人にもそれが感じ取れるようで、嬉しそうに読んでいる。

 あたしはいつも横で娘の声に耳を傾け、間違っているところを訂正する係である。昨日は、「すっくと立つ」ってどういう意味と訊かれ、すっくと立ってみせたところ、勢い余って椅子を倒し、「そんな大きな音を立てて、階下の人に迷惑だよ」と娘に窘められた。でも、すっくと立つという状態が、倒れた椅子の様子と共に娘の頭の中にインプットされたことだろう。

 「はらぺこさんふたり」の後には、「もりのへなそうる」が待っている。中学2年生が読んでも面白く、かつ簡単な本をもっと探して来よう。

 ちなみに娘は「ぱぴぷぺぽ」や「っ」を書くのが苦手。「『ぷ』は『ふ』に丸」と唱えながら、しっかり「ぽ」と書いていたりする。